高齢化が進む日本では、ますます介護の重要性が増していきます。介護施設は様々な種類があり、在宅の介護もあれば、デイサービス、居住型の介護施設まで様々です。それらで提供される介護は、介護施設の種類によってもそれぞれ異なりますが、共通することがあります。それが、施設利用者の尊厳を奪うことなく介護を提供するということです。
介護は、日常生活を一人で満足にすることができない人の介助をすることですが、ただ身体介助や生活の援助をしていればよいというものではありません。利用者の意思を無視した、尊厳を守ることのない介護をしていては、利用者に不快感を与えるばかりではなく、実害があることもあります。
尊厳を守るということは、非常に重要で、その重要性は介護に関する法律にもしっかりと表れています。2005年の法改正において、介護利用者の尊厳を守る介護が明記されているほどです。介護において尊厳を守ることが重要であることは、もちろん人権を守るという意味もあります。
しかし、このほかに利用者にストレスを与えないという意味もある行為です。尊厳を守ることのない利用者の意思を無視した介護は、利用者に大きなストレスを与えます。自分の意思が反映されず、見下されていると感じるような対応は大きな不快感となるでしょう。そのようなストレスを常に感じ続けていると、気持ちがふさぎ込むこともあれば、人によっては抱える症状に悪影響を与えてしまいます。介護度が高くなり、どんどん自分でできることが少なくなり、負のスパイラルとなってしまいかねません。このような事態を避けるためにも、尊厳を守った介護は重要です。