介護は、何らかの支障を抱えている高齢者が自分らしく生活していくために非常に重要な存在ですが、ただ補助をしていればよいというものでもありません。介護を十分に行うためには、利用者の尊厳を守った介護をすることが必要不可欠です。尊厳を傷つけるような介護は、利用者のストレスへとつながり、介護度を上げてしまうというようなことにもなりかねません。尊厳を傷つけない介護をすることは、介護保険法にも定められていることです。
尊厳を守る介護をするための方法のひとつとして、声掛けというものがあります。介護職が行為を行動に移す前に、利用者に対して声を掛けるというものですが、ただ単に告知するだけでは意味がありません。尊厳を守るためには、声を掛けるだけではなく、相手の意思を確認することが重要です。介護をするというのではなく、介護をしてもいいですかと尋ねることがポイントとなります。
また、介護を受ける人は、認知症の影響などによって、時に徘徊や嘘を言うなどといった不可解な行動をすることがあります。これらの行動を放置すると、時に重大なトラブルにつながってしまいますが、場当たり的な対応をしてはいけません。利用者を室内に閉じ込めたり、適当な返事をしたりすると、利用者は不安を感じ尊厳が傷つけられます。このようなことを避けるためには、一見不可解と感じる行動をとる意味を考えることが重要です。不可解な行動の裏には、かつての習慣や心理的な不安が影響していることもあります。根本原因を解消する介護が必要でしょう。